今回は、『イングランド銀行をつぶした男』との異名を持つ投資家ジョージ・ソロスの格言を紹介します。
『自分の思考と現実の違いを思い知らされるのは、苦い経験によってのみである』
ソロスは投資家と慈善事業家のふたつの顏を持ち、政治経済に関する評論家としても活躍しており、『国境なき政治家』とも呼ばれています。
さまざまな方面で活躍し、成果をつくっている方が苦い経験から学んで今の成果をつくっていると知ると勇気をもらえます。
この格言からの学びと、ソーシャルビジネスコミュニティ『ワクセル』の主催者であり、最近ある企業の大株主となり投資家としても成果をつくられている嶋村吉洋氏からの学びを紹介していきます。
天才投資家ジョージ・ソロス
ハンガリー生まれのユダヤ人であるソロスは15歳のときに、ハイパーインフレーション下のハンガリーではじめて通貨取引をおこなったといわれています。
ソロスはジム・ロジャーズと組んでクォンタム・ファンドの前身であるソロスファンドというヘッジファンドを立ち上げます。
ヘッジファンドとは、さまざまな取引手法を駆使して相場が下がっても資産の目減りを避け利益を追求するファンドです。
当時はヘッジファンドという名前すらまだない時代でしたが、ソロスはその先駆けとなるファンドを設立しました。
その後ロジャーズと考え方の相違などにより仲たがいし、ロジャーズがファンドを離れる結果となります。
クォンタム・ファンドは『史上最強のヘッジファンド』といわれており、1969年に資産1万円を投資していれば、1997年には資産3,000万円以上になるほどの結果を残しました。
イングランド銀行をつぶした男
1990年に欧州通貨制度(ユーロに移行するまでの制度)に参加したイギリスですが、経済学者や財界人はユーロからの離脱、もしくはポンドの切り下げを望んでいました。
そのためソロスはイギリス政府(銀行)がポンドの価値を維持できないと予測し、空売りを仕掛けました。
その額は100億ドル規模といわれており、その空売りによってポンドの暴落が起きないようにイングランド銀行が買い支えますが、最終的には支えきれずにポンドは暴落しました。
結果的にイングランド銀行をいち投資家が潰す結果となったのです。
この一件から、ソロスは『イングランド銀行をつぶした男』と呼ばれるようになりました。
その後、1998年には運用資産で世界最大のヘッジファンドとなります。
しかし、2000年になるとインターネット・バブルの崩壊により60億ドルを失います。
この金額は、バブル崩壊によって損失を被ったあらゆるファンドのなかでも最大の損失額でした。
ファンドの規模は100億ドルから40億ドルまで縮小しました。
このような苦い経験をしながらも、ファンドを建て直し、2010年にはファンドの規模を史上最高額の270億ドルへ導きました。
今回の格言のとおり、ご自身の苦い経験から自分の思考と現実の違いを思い知り、その経験をバネに、より大きな成果をつくられてきたことが伝わってきます。
さいごに:嶋村吉洋氏からの学び
嶋村氏は、現在では投資家としても活躍されていますが、講演会でお話をうかがうと、これまでに多くの挑戦をされ、さまざまな困難を乗り越えられてきたことが分かります。
ビジネスをはじめたときも、さまざまな人から反対され、「お前には無理だ」といわれ、実際にうまくいかないことの方が多かったとおっしゃっていました。
しかし、嶋村氏は、「学ぶだけではなく、行動しチャレンジしてきたからこそできる経験で、成果をつくるには必要な経験」として捉えられています。
ソーシャルビジネスコミュニティ『ワクセル』では、多くの方が実際に行動し、さまざまなチャレンジをされています。
このような場で学び、さまざまな経験を積めることの重要性を今回の格言から改めて感じました。