映画『開戦前夜』は、太平洋戦争へと向かう日本の姿を通して、私たちに大切な問いを投げかける作品です。
原案となったのは、猪瀬直樹氏のノンフィクション『昭和16年夏の敗戦』。
1941年、日米開戦の可能性を分析するために設立された「総力戦研究所」で、若きエリートたちが導き出した結論は「日本必敗」でした。
しかし、その合理的な予測は、開戦を止める決定にはつながりませんでした。

【出典】開戦前夜/映画.com
この作品を通して考えさせられるのは、正しい情報や判断があったとしても、それだけでは大きな流れを変えられないという現実です。
今回は、映画『開戦前夜』のなかで語られる名言からの学びとともに、『人生100年時代を生き抜くための億万長者のコミュニティ資本論』(プレジデント社)の著者であり、ソーシャルビジネスコミュニティ『ワクセル』の主催者でもある嶋村吉洋氏からの学びとともに紹介していきます。
空気に飲まれず信念を持つ
『一度動き出した空気に抗うのは至難の業です』
人は、周囲の意見や組織の方針、その場に漂う雰囲気に大きな影響を受けます。
最初は疑問を持っていたとしても、周りが同じ方向へ進み始めると、自分だけ違う意見を口にすることが難しくなります。
映画の中で、総力戦研究所のメンバーたちは、データを分析し、議論を重ねた末に日本が戦争に勝つことは難しいという結論にたどり着きます。
それでも、国全体が開戦へと傾いていく流れを止めることはできませんでした。
この姿は、決して過去の日本だけの問題ではないと思います。
会社や組織でも、誰かが始めた方針に疑問を感じながら、「みんなが賛成しているから」「今さら反対しても仕方がないから」と、違和感を飲み込んでしまうことがあります。
だからこそ、周囲の空気に流されず、自分の頭で考えることが重要です。
多数派の意見が必ずしも正しいとは限りません。
むしろ、全員が同じ方向を向いているときこそ、一度立ち止まり、別の可能性を考える姿勢が必要なのではないでしょうか。
最悪の場合を想定する
『終わらせ方も考えずに戦をするのは無責任』
何かを始めるとき、私たちは目標や成功したときの姿を思い描きます。
しかし、本当に重要なのは、始めた先にどのような結果が待っているのか、そして、思いどおりに進まなかったときにどうするのかまで考えることです。
戦争は、その判断によって数え切れないほどの命や暮らしが失われるものです。
勝利の可能性だけでなく、敗北した場合の被害や、その後の国の姿まで考えなければなりません。
映画に描かれる総力戦研究所の分析は、まさにその現実を突きつけるものでした。
これは、仕事や経営にも通じる考え方だと思います。
新しい事業に挑戦するとき、売上や利益などの成功イメージばかりに目を向けてしまうことがあります。
しかし、リスクや撤退基準、関わる人たちへの影響を考えずに進めれば、自分だけでなく、仲間や取引先まで巻き込んでしまう可能性があります。
挑戦することは大切です。
ただし、挑戦することと、無計画に突き進むことは違います。
始める勇気と同じくらい、起こり得る結果に責任を持つ覚悟が必要です。
目の前の勢いや期待だけで判断せず、先を見据えて決断できる人でありたいと感じました。
最後に
『戦争回避を唱えることは、命を賭して信念を守る『献身』なんだよ』
大きな流れに逆らうことは、簡単ではありません。
特に、組織や社会が一つの方向へ進んでいるときに異なる意見を伝えるには、勇気が必要です。
自分の立場が危うくなったり、周囲から理解されなかったりすることもあるでしょう。
それでも、目の前の現実を冷静に見つめ、自分が正しいと信じることを伝え続ける。
その行動は、単なる反対意見ではなく、未来やそこに生きる人々を守ろうとする責任ある姿勢なのだと思います。
もちろん、信念を持つことは、ただ自分の意見を押し通すことではありません。
事実を確かめ、異なる意見にも耳を傾けたうえで、自分なりに考え抜き、必要なときには声を上げることが大切です。
映画『開戦前夜』が描く歴史は、正しい予測をすることと、その予測をもとに行動を変えることの間には、大きな壁があると教えてくれます。
だからこそ、私たちは日頃から自分で考え、周囲の空気に流されず、判断に責任を持つ姿勢を身につけなければなりません。
映画プロデューサーであり、ソーシャルビジネスコミュニティ「ワクセル」の主催者でもある嶋村吉洋氏も、著書『人生100年時代を生き抜くための億万長者のコミュニティ資本論』(プレジデント社)を通じて、人とのつながりやコミュニティの大切さを伝えています。
人は一人で生きているわけではなく、周囲の人や環境から大きな影響を受けています。
だからこそ、どのような人とつながり、どのような価値観を大切にするのかが、自分自身の判断や行動にもつながっていくのではないでしょうか。
時代の空気に流されるのではなく、自分の頭で考え、信念を持って行動する。
そして、その決断が周囲にどのような影響を与えるのかまで考える。
『開戦前夜』は、過去の歴史を描きながら、今を生きる私たちにもその大切さを問いかけている作品だと感じました。
