今回は、お正月の風物詩である箱根駅伝で2年ぶり7回目の優勝を果たした青山学院大学・原晋氏の格言を紹介します。
『スタートとゴールを大切にすると、その間のプロセスも大切にするように自ずとなる』
【出典】スポーツ報知
原晋氏のことばは人生の参考になるものがとても多く、2回連続で取り上げます。
今回は原氏のさまざまな場面でのことばからの学びを、『うまくいくリーダーだけが知っていること』(きずな出版)、『となりの億万長者が17時になったらやっていること』(PHP研究所)の著者であり、ソーシャルビジネスコミュニティ『ワクセル』の主催者でもある嶋村吉洋からの学びとともに紹介していきます。
現役時代
原氏は幼いころから運動能力が高く、小学生のころはソフトボールで4番でピッチャー、相撲では主将を務めるなど活躍していました。
中学生で陸上部に入部し長距離走をはじめると、中学1年生の頃に学内のマラソン大会で上級生を抑え校内1位、3年生のときには県総体の1500m走で2位に入賞しました。
進学した広島県立世羅高等学校では、3年時に主将として全国高等学校駅伝競争大会総合2位に貢献します。
中京大学に進学した原氏は、3年時に日本インカレ5000m走で3位に入賞しています。
大学卒業後、原氏は中国電力に入社し、陸上競技部の創設に参加します。
4年後には主将として全日本実業団駅伝への初出場に貢献しました。
しかし、故障や監督との軋轢などで成績不振に陥り、入社5年目に27歳の若さで現役を引退しました。
青山学院大学陸上競技部監督に就任
『自分が達成できなかった事実は事実として言い訳せずに「できたこと」、「小さくとも結果が出ていること」をきちんと相手にアピールすることです。ビジネスパーソンであったら、ノルマが達成できてなくとも、そこまでの道のりで努力したこと、功を奏したことを説得力ある言葉で伝えることです。』
原氏は競技引退後、10年間中国電力でサラリーマン生活を送っていました。
同期が本社で活躍するなか、山口県徳山市(周南市)の営業所に配属された原氏は、空調システムを社内で一番売り上げるなど、営業マンとしても業績をあげました。
その後、母校・世羅高校の関係者から紹介を受け、中国電力を退職し、青山学院大学・陸上競技部監督に就任しました。
このキャリアチェンジを原氏が急に決めてしまったため、家族からは猛反対を受けたそうです。
監督就任時、強豪校ではなく、箱根駅伝への出場も遠ざかっていた青山学院大学ですが、原氏は「箱根駅伝に3年で出場、5年でシード権、10年で優勝争い」と目標を立て、監督業をスタートさせました。
就任3年目の2006年の箱根駅伝予選会では16位と惨敗し、大学幹部から「話が違う」と責められ、長距離部門も廃部寸前に追い込まれました。
しかし、原氏はこの格言にもあるように、大学執行部に取り組んできたことを丁寧に説明しました。
これまでおこなってきた規則正しい生活の導入や地域清掃活動などの人間形成教育が実を結びつつあり、もう少し時間があれば必ず成果を出せるということ、例え自分が辞めることになっても推薦枠の整備を進めてほしいなど熱意を込めてプレゼンし、契約の更新を掴み取りました。
原監督がつくりだした黄金期
『強いチームをつくるには「業界の常識を疑う」ことが必要』
2008年に原氏は関東学連選抜の監督としてチームを総合4位に導くと、2009年には史上最大の33年のブランクを乗り越えて、青山学院大学の箱根駅伝出場を決めます。
翌年の2010年には総合8位と躍進し、41年ぶりのシード権をもたらします。
その後も箱根駅伝出場を継続し、2015年念願の総合初優勝、2016年には総合2連覇を達成します。
2017年には総合3連覇に加え、三大駅伝大会完全制覇を成し遂げ、黄金期を築き上げます。
2018年に4連覇を達成するなどその後も好成績を残し、2023年の第100回大会での総合優勝を含め7回の総合優勝を果たしています。
黄金期を築き上げた原監督はこの格言にあるように、陸上界の常識に疑問を持ち続けてきました。
監督として陸上界に戻ってきたときに、自分が現役のときの常識がそのまま通用することに驚き、新しいチャレンジがしにくい環境に違和感を覚えました。
そんななか、人間形成を主眼に選手の育成に取り組んできた原氏の取り組みは業界の常識からは外れた取り組みでした。
さいごに:嶋村吉洋氏からの学び
映画プロデューサーであり『ワクセル』の主催者でもある嶋村吉洋氏も常識を疑い、常識を覆してきた方です。
高校中退で社会に出て、資金を貯めて起業されて非常識な結果をつくり続けられています。嶋村氏も「非常識な結果を得るには、非常識な原因が必要」ということをよく話されています。
原氏の格言から、常識にとらわれず、本当に大事なことを見極める力を付けていく必要があると学びました。
次の記事では、原氏のマネジメントについての格言を紹介していきます。